渓流釣り

腕におぼえあり とはいうものの、それほどのことはない。 釣り上げた魚の数や大きさが自慢になるというなら、存外腕自慢の話はつまらないものだ。 私の友人は釣り落としたのが悔しくて、魚を追いかけて川に飛び込んだと言った。 また、ある人は水の引いた溜まりで弱っていた大岩魚を見つけ、介抱し、清流に戻してやったと言った。 しかし、この話は、繰り返し語られることで抑制のきいた情話となったが、 その実、持ち帰りたい欲望が釣師の誇りをさいなみ、その葛藤が続く間中、岩魚は日がな一日、 口に紐を通され浅瀬に繋がれていたのだそうな。
釣りの話はいつでも、どこか滑稽で、さながら痛快で、変に哀れっぽい。 私はそんな話が好きだ。ぜひ、あなたの物語を聞かせてください。写真の浮き根付けは、ご希望であればあなたの名を入れて、差し上げます。